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『つまらないものですが』はもうやめよう

2025/12/26

年末年始の贈り物と自己否定の深い関係

年末年始になると、
なぜか心がザワつく人がいます。


贈り物を渡すとき、受け取るとき――

「自分が試されている気がする」からです。


年末年始は、
お歳暮、手土産、帰省の差し入れ、


親戚や身内、友人との贈り物のやり取りが一気に増える季節です。


そんなとき、必ず耳にする言葉があります。


「つまらないものですが…」

日本ならではの、
謙遜と気遣いの文化。


これは本来、とても美しいものです。


相手を立てるための、知恵ある言葉。


でも、ここで大事なことがあります。


それは――


謙遜と、自己否定は、まったく別物だということ。



たとえば、こんな場面を想像してみてください。


あなたが年末、
誰かの顔を思い浮かべながら、


時間をかけてチョコレートケーキを作ったとします。




材料を選び、
失敗しないよう気を配り、


「喜んでくれるかな」と願いながら。


そのケーキを差し出すときに、

「まずいかもしれないけど…」


「失敗作だけど…」


「期待しないでね…」

もし、そんな言葉を添えたら、


食べる前から、空気は少し重くなります。


本当は、こうでいいはずです。


「よかったら食べてください」


「心を込めて作りました」


それが、健全な謙虚さです。


ところが、贈り物だけでなく、


自分自身になると、
人はさらに厳しくなります。


年末年始の集まりで、


こんな気持ちになったことはありませんか。


「私なんて、全然ダメで…」


「大した人間じゃないんですけど…」


恋愛相談でも、

同じです。


「私には魅力がありませんが、好きになってください」




正直に言いますね。


それは、
自信がないのではありません。


自分を下げる癖です。


たとえ自信がなくても、


言い方は、いくらでもあります。


「あなたと仲良くなりたい」


「一緒に楽しい時間を過ごしたい」


それで、

十分です。


わざわざ


「つたない自分をどうぞ」

と差し出す必要はない。


それは、謙虚さではなく、


自分を粗末に扱う習慣だからです。




日本では昔から、


「出る杭は打たれる」


「控えめが美徳」


そんな空気がありました。


でも、その流れの中で、


いつの間にか――

・自分を下げることが当たり前


・自分を肯定するのが怖い

そんな悪循環が生まれてしまった。


その結果、


どんどんみんなが自分に自信をなくしていく。


これは、優しさでも、

思いやりでもありません。


謙遜とは、相手を思う姿勢。


自己否定とは、自分を傷つける癖。


似ているようで、


この二つは、正反対です。


年末年始、
贈り物を手にするとき、


言葉を添えるとき、
どうか思い出してください。


あなたが差し出すものは、


「つまらないもの」なんかじゃない。


不安があってもいい。


自信がなくてもいい。


でも、
自分をけなして渡す必要は、

もうありません。


静かに、堂々と、

「よかったら」と差し出せばいい。


その在り方は、
贈り物だけでなく、


あなた自身の人生も、少しずつ楽にしてくれます。