人生には、
どう頑張っても 元には戻らない出来事があります。
病気も、 別れも、 老いも、 介護もそうです。
僕たちは何か問題が起きると、
まず、元に戻ろうとします。
昔の自分に
昔の暮らしに
昔の家族に
昔の体に。
でも時々、 人生は残酷です。
どれだけ願っても、 元には戻らないことがあります。
僕自身、 20歳の時にクローン病になりました。
それまで当たり前だったことが、 次々にできなくなりました。
食事
外出
仕事
将来の計画
そして何より、
「普通の人生」
それが一番苦しかった気がします。
当時の僕は、
「どうすれば治るのか?」
「どうすれば元に戻れるのか?」
そればかり考えていました。
「治ったら幸せになろう!」
「元気になったら人生を始めよう!」
そう思っていました。
でもある日、 ふと気づいたのです。
もし元に戻る日を待ち続けたら、
人生そのものが 終わってしまうかもしれない、と。
そこで目標を変えました。
完治ではなく、
今日を生きること!
元に戻ることではなく、
今の自分で生きること!
誤解してほしくないのですが、
諦めたわけではありません。
投げ出したわけでもありません。
むしろ逆でした。
現実を受け入れたのです。
できないことはある。
前と同じにはいかない。
それでも生きていく。
それでも幸せになる。
その覚悟を決めました。
すると不思議なことに、
人生が少しずつ動き始めました。
病気は消えていなくても、
笑う日は増えました。
できないことはあっても、
できることも見えてきました。
失ったものばかり見ていた視線が、
残っているものへ向くようになりました。
カウンセリングをしていると、
多くの人が
「元に戻りたい」
と苦しんでいます。
若かった頃の自分に
仲が良かった頃の夫婦に
元気だった親に
病気になる前の体に。
でも人生は、
必ずしも元に戻ることが ゴールではありません。
人生は、
元に戻すものではなく
整え直すもの。
作り直すもの。
そう考えられるようになると、
少し呼吸が楽になります。
もし今、
思い通りにならない現実の中で 苦しんでいるなら。
無理に前の自分を探さなくて
大丈夫です。
元に戻れなくても
大丈夫です。
あなたはもう十分、 頑張っています。
だから次は、
「どう戻るか」ではなく、
「ここからどう生きるか」
を考えてみてください。
人生は意外と、
そこからもう一度動き始めます。