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愛しているからこそ、手放せないことがある。

2026/06/22

20歳でクローン病になった頃、

母はよく言っていました。

 

「私が代われたらいいのに」

「代わってあげたい」

 

息子が苦しんでいる姿を見るのは、
つらかったのでしょう。

 

母らしい言葉だなと思います。

優しい人でしたから。

 

でも、
どれだけ母がそう願っても、

僕の病気が治ることはありませんでした。

 

僕が痛い時は、
僕が痛い。

僕が苦しい時は、
僕が苦しい。

 

当たり前のことですが、


誰かが代わることはできませんでした。

 

カウンセリングをしていると、

 

時々、
同じような優しさに出会います。

 

子どものことで悩むお母さん。

夫のことで苦しむ奥さん。

親の介護をしている娘さん。

 

みんな本当に優しい。

 

だからこそ、

気づけば、
相手の人生まで背負おうとしてしまうのです。

 

私が何とかしなきゃ。

私が頑張らなきゃ。

私が我慢すればいい。

 

そう思う。

 

でも、
人にはそれぞれ、

 

自分で越えるしかない坂があります。

自分で学ぶしかないことがあります。

自分で歩くしかない人生があります。

 

見守ることは難しい。

手を出したくなるし、
助けたくなる。

 

愛しているなら、
なおさらです。

 

でも本当は、

相手の荷物を持つことより、

 

「この人はきっと大丈夫」

 

そう信じることの方が、


ずっと勇気がいるのかもしれません。

 

そしてもうひとつ。

 

人のことばかり考えている人ほど、

自分のことを忘れます。

 

ちゃんと眠れていますか?

ちゃんと休めていますか?

ちゃんと笑えていますか?

 

母の言葉を思い出すたびに、


今でも胸が温かくなります。

 

そして同時に思うのです。

 

愛することと、
代わりに苦しむことは違う。

 

大切な人を信じること。

そして、


自分のことも大切にすること。

 

その両方があって、


はじめて優しさになるのかもしれません。